幻のクルマが入庫しました!冒頭の写真は当工場に入庫した今現在の車両の様子です。
昭和37年(1962年)12月初度登録のプリンス・グロリア(S40D-1デラックス)です。日産とプリンス自動車の合併が昭和41年(1966年)8月なので、このクルマは合併前の貴重な1台ということになります。
上の画像が展示室に置かれた同型の車両(1967年製S41D-2グロリアスーパー6)です。年式違いでいろいろあるらしいのですが、そっくりですね。博物館に所蔵されているような60年前の車両が”生きたまま”見られるなんて、まさに、奇跡です。
話を飛躍させると、プリンス自動車の初代スカイラインのリリースは1957年4月となります。この型の2代目プリンス・グロリアが1962年9月に発表され、それまで兄弟車であった初代スカイラインの5ナンバーフルサイズの高級乗用車のコンセプトをより進化させたモデルとなりました。ちなみにスカイラインは1年遅れの1963年9月にフルモデルチェンジし1500ccの小型ファミリーセダンとして再スタートします。そして1964年5月の第2回日本グランプリにこの小型のスカイラインにグロリア用の6気筒エンジンをチューニングして無理やり搭載したスカイラインGTが出場、ポルシェ904を抜いて先頭に立つ快挙を成し遂げました。これが、スカイライン伝説の始まりとなります。日産と合併後、スカイラインは1968年3代目所謂”ハコスカ”をリリース、ブルーバードと部品の共通化が図られ、その後特にレース仕様の高出力高馬力エンジンを搭載していくようになります。
一方、プリンス・グロリアは日産の開発車種であったセドリックと姉妹車関係になり、合併後の日産プリンスの高級路線を担っていくことになります。一時は”セド・グロ”として一世を風靡しましたが、残念ながら惜しまれつつ平成16年(2004年)に生産終了ということになりました。でも、安心してください、履いてますよ(Don’t worry、I’m wearing)、ではなくて、セド・グロの魂はフーガ、ティアナにしっかりと引き継がれています。
このクルマを60年以上“生かして”きた現オーナー様には敬意を表します。また、60年経っても現役で動くクルマを製造できた当時の日本の工業力、技術力にも頭が下がる思いとともにその流れが現在の我々のノウハウにも繋がっていることに改めて感謝申し上げます。是非、このような貴重なクルマをお持ちでしたら(もちろん現行のスカイライン、フーガ、ティアナも大歓迎)、私たちの工場にご入庫ください、丁寧に”愛”を持って”診”させて頂きます。